中山七里『アポロンの嘲笑』あらすじ&感想

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アポロンの嘲笑 ミステリ

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どうもヽ(。・ω・。)
ここ何ヶ月か活字から遠ざかるいちこです
そんな日々でしたが久々の読了w

 

集英社「アポロンの嘲笑」
【読了2021.10.11】

 

 

 

時は2011年3月
東北沖で発生した巨大地震により、大津波が沿岸部を襲い、未曾有の大災害の起きたあの日、――の5日後

場所は、福島県

地震。続く余震。津波の被害も甚大な中、福島第一原子力発電所の事故により通常業務もままならない大混乱の福島県警石川警察署に殺人事件の一報が入る。

既に犯人の身柄は確保しており、被疑者・加瀬邦彦を移送するために現場へと向かった仁科は、しかし目の前で身内を殺された被害者家族の反応を訝しく思った。

被害者の父親は加害者に「すまない」と謝る
被害者の妹は加害者に「行かないで」と縋る

そして被疑者・加瀬邦彦は余震の隙に移送中の車から逃亡するのだが――。

 

 

図書館本。
タイトルだけ見て背表紙借り。

まさかの東日本大震災! …の、5日後の殺人事件。

作品は2013年から2014年にかけて連載していたそうです。2013年といえば地震からまだまだ記憶にも新しい時期だというのに、大地震直後の福島を舞台にするなんて、思い切りましたね!

記憶の鮮明なうちに、というのもあったのかも知れません。

内容はミステリというより、サスペンス
既に犯人は判明しており、その移送中の逃走。余震の中の逃亡劇。追う刑事。出張る公安。何度も見舞う余震。飢餓と負傷。それでも立ち止まらない犯人の目的地は。目的は?

 

…正直なトコ

え。いいの? そんな具体的に指摘しちゃっていいの? 怒られない? とある機関から密やかに抹殺とかされちゃわないぃぃ???

 

と不安になるくらい、名指ししてしく書かれていましたが

殺人事件そのものはフィクションですが、背景は現実で。
その中で暗躍する巨悪の存在もまた真実なのだろうかと信じてしまいそうになる。むしろ実際に小説として書かれている事件? 事案があったとしてもおかしくないのかも知れない。おかしくない、という現状もまた虚しい限りですが(´ε`;)

 

震災か。人災か。

 

私は九州人なので東北の震災はTVでしか知りません。
熊本在住時代に熊本地震を経験しましたが、阪神・淡路や東日本大震災はさらに想像を絶するものだと思っています。

 

この作品は当時の渦中が脳内で映像化できるくらいリアルに描写されているので、当時を思い出したくない人もいるかも知れませんね…それくらい生々しく描かれていました。

 

 

 

 

以下ちょっとだけネタバレありです(*ФωФσ)σ

 

 

 

 

 

 

 

震災の最中にテロとか。
どんどん風呂敷が広がってて、どう着地するのか…できるのか不安も少しありました

あと、いくらなんでもあんまりだろうってくらいに人生が不幸の連鎖で、逃走犯が不憫で仕方なかった。読み進めるのも居た堪れなかった。両親を失った後、初めて得た家族。親友。恋人。それらを護るために命をかけて進む。

本当に命懸け。
むしろ無事に目的地に辿り着き、使命を果たせたことが奇跡。
どの場面で命を落としてもおかしくなかった。

死地へバイクで向かう2人を、敬礼で見送る警察関係者の場面は胸が震えました。

 

 

読後感としては悪くなく…もない(;´゚∀゚`)
もう少し幸せな結末でも良かったんじゃないかな~ 思わなくもないのですが、ブツっと未来を断ち切ってしまうことが作者の意図かもしれません…(や。知らんけどw)

壮絶で、物悲しく、そして人間の情があふれる作品。
原発とか当時の政府への批判も随所に練り込まれています。

 

 

賛否は大きく幅が振れるかも知れませんが、色々と考えさせられる作品だと思いました。

 

同著者の別のタイトルが現在、映画館にて上映中ですね。
奇しくも東日本大震災に関する内容のようです|д゚)!

 

 

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